つい手に取った『メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-』を読んだ

SmartNewsの読書チャンネルで見つけて、気になって購入しました。

メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-

人の反応・感覚・学習などが、どのようにして脳の細胞やその関わりにより構成されるのかの大枠を知ることができます。人の学ぶ仕組みなども垣間見ることができて、脳科学やさらには深層学習といった 学ぶ意思決定 を模倣する領域への面白さも感じることができました。

人の考える仕組みとかに興味ある人はもちろんなのですが、深層学習などから人の学習や脳の科学に興味を持った人や元々そういう方面に興味ある人であれば読んでみると良さそうな感じです。生物学の延長という感じではなく、工学系の大学生に脳科学に興味を持ってもらうために書かれているので、仕組みを紐解くというリバースエンジニアリングな話の流れがあってエンジニアにはオススメできると思いました。

内容

人はハードウェア的に多くを処理している

人の聴く仕組み(音の知覚)から、細胞の反応に入ってきます。そこでは、有毛細胞の振動を起因とした機械仕掛けのセンサの話、神経信号が細胞内外のイオン濃度の膜電位を起電力として電力に変換、脳に音を知覚させるという話が広がります。

神経細胞レベルで情報処理が始まるきっかけは、細胞内外のイオン濃度の平衡状態が崩れることだと知りました。ところで、熱力学第二法則が世界には存在しますね。そのため、実は細胞内のイオン濃度を保つために内外の濃度さを調整するイオンポンプが存在するそうな。このポンプを動かして濃度を保つ事に、脳の基礎代謝の50%が使われているらしいです。脳の半分がこれに使われるのですね。電位を生む源泉。

そのため、このイオンポンプを強制的に操作するような外的刺激を加えることができると、細胞に流れる電気を意図的に操作できます。これが発展したものが、人の感覚補助をする補助装置。あのような補助装置の動きが垣間見れてなるほど感。

運動感覚への関わり。

歩行運動に関わる神経と筋肉の動きは、 4つの指令信号 から再現される10個の活動パターンとして存在するそうです。それらが成熟していき、歩行運動をとれるようになると。さらには、サル、ネコ、ラットなどにおいてもその 4つの命令信号 によって歩行運動が再現されるそうな。骨格などもちがうのに、人問わず基本は同じになってくるのですね。筋肉などを動かす根本は似ていると。

脊髄内には多くの運動モジュールが存在するとのこと。そのモジュールを脳が組み合わせて使うことで、体の動きが決まってくるらしいです。モーターによる身体の補助装置なんかは、この組み合わせをリバースエンジニアリングで観測し、それを元に機械側でも動作を予め予測して動いているらしです。そうせずに、素直に細胞の反応を計測しながら補助装置を反応させると人の反応と機械の反応が乖離して補助にならないとか。こう言うところって、品質を考える上で重要な指標になりそうな気づきです。

脳の反射の話で出てきたのですが、脳の検索性能ってすごいですね。処理能力だけでなく、階層化などしてる。さらには、脳はマルチクロックで動作するし、集団的ベクトル表現を持っているし。奥が深い…

脳による信号の学習というところで、学習前、学習中、学習終盤における神経細胞の動きに関して書かれているところがありました。神経細胞の入出力に注目して見ると、入力に対する処理はだんだんと非同期的になっていくそうです。つまり、学習が進むと細胞はバッチ処理的に効率的に処理を始めるのですね。人の学習も、習慣として身についた後は勝手に処理されていくもんな。バックグラウンドで非同期に処理される感じ。

Brain machine interface を皮切りに、エンジニアの脳への挑戦が進んだことも書いていました。その結果で行き着いた一つが深層学習。

脳の設計に関する話も少し。脳は基本的に干渉設計であって最適設計ではないそう。要求機能が干渉し合うのはシステム開発では望ましくないが、脳は干渉し合う形で設計されている。むむむ。。。神経細胞の多様な反応と、機能マップによる効率化が天秤にかけられているのかも?と。

最後は芸術。
コンピュータグラフィックスの世界で、どのように脳に本物のように見せるか、という話が展開されていました。ヒトは見慣れたものを美しいと思うようになるとのこと。なので、慣れたものほど疑え、というのは脳の構造としてもまっとうなのですね。

締め

人の学ぶ仕組みやその反応の仕組み、奥が深い。ただ、それを模倣しながらコンピュータが発展している面もあるので、分散系に興味あるなら無知ではいない方が良いかな感。

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