『システムの科学』を読んだ

システムの科学 第3版 を読みました。

FB上で誰かがコメントしていたことをきっかけに読んでみることにしましたが、これは大学院の頃にも読んでおきたかったと思ったものでした。(ただ、その頃に読んでも今ほど楽しめなかっただろうですが)

原書は “The Sciences of Artificial, Third Edition”です。人工物に対して、科学的な見解をまとめている本です。そこには数多の論文が引用されています。第3版では、複雑性に関する内容を取り入れて、システムへの考察もその時点での経験的な側面含めて述べています。

ここでいうシステム、とは複雑系を指しています。なので、人の生活や文化、組織の話だったり、コンピュータを使った分散システムの話であったりが対象です。認知心理学やデザインの科学のほか、複雑性に対するカオスや遺伝的アルゴリズムなどの話を交えつつ、それら”システム”に対していろいろ述べています。

人は、どんなにしたいと思っても、できないことをやろうとはしないであろう。…
それ以外に選択の余地がないがゆえに、「十分良好な」代替案を受け容れる、そういう人間すなわち満足化を追求する人なのである。

面白かったところは、人が満足するとはどういう状態か、というような所まで踏み込んでいたことです。科学的な視点から、例えば創造したシステムが人を満足させる、満足したとはどうなっていることなのかまで書いています。ここら辺も踏まえて、ソフトウェアテストや品質という点で、私が進んでいるような先にあるテストエンジニアを目指す人には必要な論理的な基礎として学んでおきたい所ですね。

人工物の科学を考えるのでれば、デザインの評価(評価理論、計算方法、形式理論)、代替案の探索(発見的探索、資源配分、組織化の理論、問題の表現)を学ぶ必要があると途中で書いてました。ここら辺まで踏み込んでまとめられているものが、すでに1990年代にあったとは…

政治学には「代替案なしに批判だけすることはできない」という諺がある。

複雑性の話は、私自身が複雑系を対象に研究をしていた時期があったこともあり、とても面白かったです。複雑なシステムは、少なくとも 単純な仕組みが幾重にも階層的に連なり構成されるシステム であることを、いろいろな例を基に書いています。そこにはまだ経験的な話ベースの例が多いですが、この書籍を書いた以降の幾つかの経済系論文を追ったことがある身としては、ちゃんとした数式で証明された理論もあるので経験を理論で固めていく、という科学の話を追えたこともまた面白かったです。

最後に、経済学は、心理科学であると述べていることが面白かったです。富を追う、という所よりも、人の心理に注目しているところが品質ぽかった。

いろいろ頭を使いながら読む必要がありそうな本なのですが、これはまた読み返したい。

余談ですが、複雑系では私は The Wisdom of Crowds が面白かった憶えがあります。Kindle版もでていたのですね。

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