『融けるデザイン ハードxソフトxネット時代の新たな設計論』を読んだ

前々から気になっていたのですが、融けるデザイン ハードxソフトxネット時代の新たな設計論を読んでみることにしました。

最近、より身直な存在になったハードとソフトウェア、ネットの関係を、デザインの視点からどう捉えられるのか知見をまとめたかったので。

ざっくりと、文系は人間の活動を研究の対象とし、理系は自然界を研究の対象とする学問といわれることがあります。著者の渡邊さんはその中で、高校時代にMacintoshiを心理学者が設計していることから、コンピュータに文系のノウハウを注ぎ込んでいることに驚きを受けたということから内容にはいっていきます。

人とコンピュータの関係を、ARを題材に本来は単なるアナログ世界をディジタル世界に持ち込むのではなく、知覚や行為の身体能力の拡張や強化であり、聴覚や触覚、行為や行動そのものもその適用範囲であると書いています。ただ、コンピュータが珍しい世界だったころはディジタル世界の浸透を助ける目的としての実世界のメタファを持ち込むことが有効です。一方、ディジタルが当たり前になってくると、実世界からメタファとして持ち得ないものがディジタルに登場してきます。そのため、ディジタルの”体験”を中心に、価値を形作ることが必要になってきます。

この時代の流れをAppleのスキュアモーフィズムという実世界のメタファを中心としたUIデザインと、基本的に実世界のメタファを用いないフラットデザインを例に説明していました。そう考えると、UXが最近もてはやされている裏には、メタファに頼らない、体験から価値を作るという考え方が単なる流行ではなく実世界に存在しない価値を作るためという話も納得できました。(流行だからやっている、書籍でかかれているAppleのスタイルを表面的に使っているだけという人も多いかもしれないが。。。)

つまるとこ、今の時代は体験の設計が鍵であり、

  • 社会レイヤ: 印象やブランド
  • 文化レイヤ: ストーリー
  • 現象レイヤ: 知覚・行為/身体性

を考慮した設計が必要だとされます。その中で、現象レイヤを含んだUI/UXは売れるための要素になりにくいうえに、説明もしにくい。だが、ここが欠けると社会/文化レイヤに特筆しない限り使い続けられない設計になると説明しています。

そこも含めた設計に関して、体験を中心としたものづくりの話をいろいろ根掘り葉掘りかかれているのがこの書籍でした。この書籍には、エンジニアリング的内容と、現象学、心理学が混ぜ合わされています。

ギブソンの生態心理学の話、「投げたボールはどこまで身体か?」という命題への考察を行いながら、自己帰属意識に関して述べられます。UXは、この自己帰属意識をいかに作り、育てるかが大事なのですね。

この本を読み終わると、品質関連の話で出て来る”魅力的品質”とか、そういったものの多くがこの書籍で体験としてまとめられている感覚になりました。対人間の話になるのでUI/UXは複雑さがありますが、サービスを開発する側の人はこういう知見も蓄えていきたいですね。

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